近年、さまざまな加工食品に人工甘味料が使用されています。
「何故そんなに人工甘味料を使用するの?」と不思議に思う方もいらっしゃると思います。
この記事では、食品開発において人工甘味料が使用される理由を食品開発側の視点で説明します。
実際に食品会社の開発部門にいた人間として説明します
人工甘味料の使用理由は複数ある
加工食品に人工甘味料が使用される理由はいくつかあります。
加工食品の開発において考慮すべき課題は多く、そうした課題を克服する手段の1つとして人工甘味料が使用されます。
それらについて1つ1つ説明します。
味を整えたい
食品開発者が加工食品を開発する場合、天然/天然由来の甘味料のみでは理想的な味が出せない場合があります。
甘味料は、天然/天然由来/人工を問わず、それぞれが特徴的な味のプロファイルを持っています。
例えば、甘味料には以下のようなものがあります。
・食べた瞬間に甘みを感じるもの(「先味」といいます)
・食べて少ししてから甘みを感じるもの(「中味」といいます)
・食べてしばらくしてから甘みを感じるもの(「後味」といいます)
仮に、先味の強い甘味料だけを使った場合、最初に一瞬だけ甘みが強くなり、奥行きの無い甘みになってしまいます。
そのため、他の甘味料も使用して、全体として美味しいと感じられる甘みに整えていきます。
このように、理想とする甘みを追求する過程で、甘味料の選択肢の1つとして人工甘味料が使用される場合があります。
また、不快な味などの甘み以外の味を隠す(マスキングする)ためにも、人工甘味料が使用されることがあります。
コストを抑制したい
人工甘味料の使用の是非はともかく、やはり企業側にはコストを削減したいという考えがあります。
人工甘味料の甘さは砂糖の数百倍以上だったりします。
そのため、ごく少量添加するだけで甘味を出せることから、人工甘味料を使用すれば加工食品の原料費を抑制できます。
中には、人工甘味料は避けたいと考える方もいらっしゃると思います。
そのような方は食品の原材料表示を確認してください。
あくまで一般的な話ですが、100円付近のレトルト食品などは、人工甘味料を含む場合が多いです。
このような価格で製品を提供できるのは、メーカー側のさまざまな努力の結果でもあるのですが、
人工甘味料がコスト削減の一助になっている可能性があります。
カロリーを抑制したい
製品全体のカロリーを抑制したい場合に人工甘味料が使用されます。
人工甘味料は低カロリーであることが多いため、砂糖の代わりに人工甘味料を使用すれば低カロリーの製品をつくれます。
そもそも人工甘味料は、上記のように甘みが強いため、添加量自体が抑制されることもカロリー低減の一助になります。
虫歯を抑制したい
虫歯になりにくい製品を作りたい場合に人工甘味料が使用されることがあります。
虫歯菌は人工甘味料を利用できないことが多いため、砂糖の代わりに人工甘味料を使用すれば、虫歯になりにくい製品をつくり出すことができます。
着色を抑制したい
天然/天然由来の甘味料によっては、加熱時や時間経過時に着色に寄与するものがあります。
この着色を抑制するために、着色しにくい人工甘味料を代わりに使用する場合があります。
重量と体積を抑制したい
砂糖の代わりに人工甘味料を使用すると、最終製品の重量と体積を減らすことができることから、包材を小さくしたりしたい場合に人工甘味料が使用されることがあります。
最終製品の重量と体積は、輸送コストにも響くものですから、これらを抑制することにはメリットがあります。
製造に要する時間と手間を省きたい
製造過程において製品製造に大量の砂糖を使用する場合、その投入と溶解に時間と手間がかかかる場合があります。
砂糖の代わりに人工甘味料を使用すると、製造にかかる時間(ひいてはコスト)が抑制されます。
まとめ
このように、人工甘味料が使用される理由はさまざまです。
こうして食品開発側の視点で人工甘味料の使用理由を考えると、その加工食品に何故人工甘味料が使用されているのかが見えてきます。
こうした視点は、スーパーなどで食品を選ぶ際にもきっと役立つと思います。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました!